クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第11章 眠り姫
「き、キアラ……? どうして?」
「話しはあとよ、辛くても立ち上がりなさい!
ここから脱出するわよ?
アトキンスは私が」
おそらくキアラが隔離されていた医療カプセルの部屋を誰かが発見するまで時間はないだろう
意識のないアトキンスの身体を無理やりワゴンに押し込み、トラビスは警護兵の上着を掛けられてワゴンの上に乗せられる
キアラは急いで拷問部屋を出た
運よく廊下では他の兵士たちとすれ違うことはなかった
おそらく基地の中でもトップシークレットの空間なのだろう
看護婦が居たということは医療区画も近くにあるはずだ
ワゴンに乗せられていたタブレット端末にそのヒントはあった
こうして3人は電動車椅子と医療ベッドを手に入れて隔離空間を脱出、一般兵に混じりながらもこの場を切り抜けられた
医療スタッフの格好は偶然にも功を奏し、看護婦が患者を移動させているように見えたのだった
「なんとかここまで来れたけど、ここからどうする? まずは車を手に入れないと」
すると瀕死のトラビスは基地の食堂近くに見慣れた顔を見つけた
同じくトルコ軍に潜入していた仲間を見つけたのだ
「トラビス? まさか? てっきり殺されたものかと!?」
若い女兵士は目を見開いて思わず大きな声を出しそうになるのを必死に抑えていた
「アーニー、時間が無いの!ここを脱出します
プランBを発動させて、緊急よ」
アーニーと呼ばれた若い兵士はすぐに彼らを駐車場に先導させ、赤十字マークのついた医療用の軍用ジープを手に入れた
するとアーニーはポケットから無線機のようなものを取り出すと遠くのほうで爆発音が響いた!
ドーン!
ドーン!
ドーン!
何発も爆発音が続き基地に警報のサイレンが鳴り響く
外に飛び出した兵士たちが次々に軍用ジープに乗り込む
敵襲!敵襲!と声が聞こえる
次々とジープが発車する流れに乗って彼らの医療用ジープも基地のゲートを越えていった
アーニーたちがあらかじめ仕掛けておいた爆破装置のおかげで基地内は慌てふためき、戦場のような大騒ぎとなっている
「プランBは空港までよ?トラビスいいですね」
「ええ、ありがとうアーニー」
そこでようやくトラビスは意識を失ったのだった
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