
クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第3章 グリメット城
「作戦なんて何も考えていないよ、私の希望を述べただけだよ
お互いの目的をハッキリさせておいたほうがいいだろ?
もっと言うと…
私はこのグリメット軍と連邦軍のゾーナタ部隊で共同戦線を張りたい!」
「………は?」
ラーズは目の前の敵の司令官が何を言ってるのかわからず、思わず向かいに座るアリッサの顔を見たが彼女は特に驚いている様子もなく前からその考えがあったかのような雰囲気を出していた
「どうして連邦軍に敵対するアンタが連邦軍の一翼と仲良しになりたいんだよ?
そんなのおかしいだろ?
信じられないってもんだ!」
スティーブは机の引き出しから1枚の写真を取り出した
彼はチェアから立ち上がりラーズの真横に腰掛けてその写真を手渡した
それは30人から40人近い集合写真のようだった
そこには中心のスティーブやアリッサの他みな彼らの娘たちのようだ
10歳ぐらいの女の子たちばかりが映っている
「アンタ、どれだけ子沢山なんだ?」
「これは僕の弟のニック、まだ子供だけどもう彼がグリメット家の当主なんだ
後ろに控えてるのは彼の母親、残念ながら僕とは血が繋がっていなくてね
娘たちは何人か会っただろう?
彼女たちも血は繋がっていない
みな養女なんだ
だれひとりとして僕と血の繋がりは無いようなものだけど、僕には大切な家族だよ」
ラーズは写真を眺めていたが、それだけで連邦軍と共闘したいなど理解出来なかった
「僕の娘たちはね、少し普通の子と違っていてね……、まぁわかりやすく言うと彼女たちは売買されていたんだ、世界中にね!
彼女たちはある能力を求められていて…、
キミも知ってるだろ?うちの娘たちはパイロットなんだよ、なかなか優秀なね
それを利用しようと世界中の組織や軍隊が売買しては兵器のように扱ったりしていてね、
僕は少しづつ彼女たちを買い集めている、と言ったらわかりやすいのかな?
あんまり良い言い方じゃないけど」
「私もそれをお手伝いする仕事をしていたのよ」
アリッサも言葉を付け加えた
「ただの人身売買じゃなさそうだ、この子たちはニュータイプとか強化人間とか、そういう類いのやつか?」
「正確には違うけど、エターナル計画、ストーム計画と言っても伝わらないだろうから、
うん、まぁ有り体に言えばそういう類いの子どもたちだよ」
