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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第3章 グリメット城


「どうして世界中にそんな子供がたくさん居るんだ? いや、それは俺には関係ないか?
 すまない、よその家庭のことだった」


スティーブは写真を受け取ると懐かしそうにそれを眺めていた
 代わりに応えてくれたのはアリッサだった


「ラーズ君には正直に言うけど、彼女たちはクローン兵器なの、兵器として生まれてきた子どもたちなのよ…
 その開発データそのものが売買されてしまって世界中で彼女達が生み出されているの
 だからみな地球上のバラバラの地域から集められた、それは外見でもわかるでしょう?」


「それは……ひどい話しだな……
 でもそんなの集めてもキリが無いだろう?
 いくらアンタらが貴族で金持ちでも?」


「でも酷い仕打ちを受けていると知ったら放おってはおけないわ
 私もスティーブも、まだ見ぬ家族を探しているのよ
 最近になってそのうちのひとりの情報をキャッチしたの
 それがトルコの黒海警備隊〈ゼントリックス軍〉なのよ!」


写真を眺めていたスティーブは立ち上がり、大事そうに机の引き出しにしまった


「トランキュリティ軍同士とは言え、横の繋がりは無いんだ!敵では無かったけど味方でも無いってことさ!
 君たち連邦軍も以前は派閥が有っただろう?
 エゥーゴ、ティターンズ、カラバ皆連邦軍内の派閥だ
 我々トランキュリティ軍も似たような構図でね!
 まぁそう言った理由で〈ゼントリックス軍〉と対峙するために連邦の〈ゾーナタ部隊〉と共同戦線を張りたいのが僕の目的だよ
 ちょうど娘も向こうに居るみたいだしね
 そこでせっかく知り合ったのだからラーズ君も乗せていってあげたほうが気に入るんじゃないかなぁと思っただけなんだよ?
 どうする?
 一緒に来るかい?
 気に入らなければブルガリアの司令部まで送らせるよ?」


ラーズに迷いは無かった


「このまま帰ってもモヤモヤが残りそうだ!」


「そう言うと思ったよ!」


スティーブはニッコリ笑った


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