
クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第3章 グリメット城
「それで? どう手伝えばいい?」
「基本操作はモビルスーツと同じユニバーサル規格だから!まずはマニュピレーターを確認したいから指の握る広げるを何度か繰り返してくれる?その後はグリップから手を離しておいてね、危ないから!」
ラーズは言われるがまま単純操作をする
微調整してはデモ運動させ、再び微調整を繰り返す。作業自体は地味な操作の繰り返しだ
ただラーズはモビルスーツよりも操作性が繊細だな、と感じた
基本動作はオートで動くにしてもピッチが細か過ぎる気がする
そのあたりは脚のあるモビルスーツとの違いなのだろうか
「マーシャさんよぉ? コイツもあの娘たちが使いこなしてるのか? そりゃあそうか
それぞれの個性に合わせて操作性がカスタマイズされてたりするのかい?」
ラーズは開きっぱなしのハッチから大きな声を出して外にいてるマーシャに声を掛けた
「マシンの個別のカスタマイズは無いわ、ひとつを変えるのならぜんぶの機体をいじることになるわね!そこが逆に難しいのよ、噴け具合とか機体ごとにだんだん変化していくものだから統一を求められるのは大変なの
次は腕を振り上げてみて?
ゆっくりよ!」
ラーズは微かな動きに反応する機体に手こずっていた
「こんなピーキーな機体で戦場に出れるのかね?」
「それがあの子たちの凄い所なのよ
並みのパイロットとは違うのよ」
ラーズは少しカチンときた
「戦場に子供を送り出す事がそんなに凄いことか? オレにはスティーブってやつが屁理屈こねて利用しているだけにしか思えないけどな」
「私は整備士だから戦場に行くことは無いわ
そこは正直言って心苦しいときもある
でもあの子たちは全員スティーブ様の力になりたくて自ら乗り込んでいる事は知っておいて」
「……そうだな、あとから来た何も知らない俺がとやかく言う事じゃなかったな」
それからはラーズは無言で指示通りの操作を繰り返していった
1時間ほど手伝って今日の調整は終わった
「ありがとうラーズ君、助かったわ
あと子供を戦場に送ることに疑問を持つこともわかって良かったわ!あの子達を気味悪がらないでくれてありがとう」
ラーズは褒められたようには受け取れなかった
