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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第3章 グリメット城


食事を終えるとマーティーは交代制の勤務に戻っていった


カフェテリアに残されたラーズは食後のコーヒーでもいただこうかと思っていたが廊下からぎゃあぎゃあと騒ぐ子供たちの声が聞こえてきた


“来やがったな”

ラーズはコーヒーを諦めてさっさとカフェテリアを後にした


これから食堂はあの娘たちに占領されてしまうのだろう


このまま部屋に戻ろうかとも思ったがルームメイトのマーティーも居ないし、話す相手も居ない


“そうだ、格納庫のほうへ行ってみよう!
 娘たちは皆カフェテリアへ行くだろうからマーティーたちメカニックマンしか居ないだろう”


ラーズは格納庫のある艦の後部のほうを目指した


途中何人かグリメット家の娘たちとすれ違う

見慣れぬラーズの姿を見て怪しまれるかな、と警戒したが一切触れてこなかったので逆に警戒心が無さすぎて無防備のように思える
誰でも潜入出来そうだ


格納庫では多くのメカニックマンが動きまくっていた

コックピットに機械を持ち込みなになら調整していたり、装甲を外していたり、エネルギーを充填させていたり、やってることは地上部隊と同じようだ
ただそれがモビルスーツではなくフリューゲルタイプだと言うことだけだ


モビルスーツの上半身と航空機が融合したようなシルエットのフリューゲルタイプだ
ラーズが所属している地上部隊には配備されていないので何とも珍しい光景だ
特にこちらに配備されているフリューゲルタイプは大きな羽根を広げたような蝶のようなスタイルが特徴的な〈シュメッターリング〉という機体をラーズは初めて見た


「ラーズ君?なんだこっちまで降りてきたのか?」

コックピットから顔を出したのはルームメイトになったマーティーだ
もうひとりの女性クルーとペアになって計器の調整を行っているようだ

ラーズは仕事の邪魔しては悪いと思い手で挨拶しただけで近付かなかった
するとペアを組んでいた女性クルーが機体から降りてきてラーズに声を掛けてきた


「私はマーシャ・ザスーラ!ここのメカニックチーフよ!あなたが新しくやって来たラーズね?パイロットなんでしょう?ちょっと手伝っていかない?」


30代くらいの歳上の女声は明るくラーズを招いた


「ここの人たちはみんな人懐っこいんだな?」

「子どもたちも多いからじゃない?」

マーシャは笑った


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