クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第5章 ハルフォード提督と5人の将軍
バルキシェフの基地に帰投してすぐに5人の女将軍たちは謁見の間に向かいハルフォード提督へ現状の報告を行うため立ち去ってしまった
ジェフリーはコックピットから離れるとすぐに撮影した画像データの解析を指示してコックピットから離れた
シャワーも浴びずにタラップを降りる
そのまま格納庫の外へ出た
上空には巨大な飛翔体が浮かんでいた
「……何なんだ、コイツは……?」
滑走路は続々と僚機が帰投してくる
あれほどの大部隊だ、全機の着陸を終えるのもかなりの時間を要するだろう
滑走路や格納庫はとにかく騒がしい
上空を見上げながら格納庫を離れていくと背後からこえをかけられた
「よぅ、ジェフリー!着任そうそうお手柄だったな!」
〈アフターシン隊〉の副長ロジャーだ
もともとジェフリーは彼の部下であり彼の部隊から新設された〈サッドウィング隊〉に配属されたので旧知の仲だ
「ロジャー! 手柄というほどのもんじゃない、新型機のテスト飛行中に遭遇しちまっただけだ
ところでコイツは何なんだ?
艦なのか?」
「新任のお前さんには知らされてなかっただろうが以前からコイツの存在は厳命されてたんだ
“未知なる飛翔体を確保せよ!”てな
それが何者なのかは知らされず、ただ探してこいとだけ無茶振りされてたんだよ」
「オーロラ隊長もそんな事を言ってたよ」
「オーロラさんね…、何事にも表情を変えない鉄の女って感じだよな、美人なのに勿体ないぜ」
「感情が外に出ないタイプなんだろうな、
でも感情的な上官よりやりやすいよ
会話が出来るからな!」
「そいつはうらやましい!アビゲイル隊長のヒステリックは勘弁して欲しいもんだ」
ふたりは笑いながら滑走路上に組まれた特設テントの中へ入っていった
テントの中は床一面にケーブルが這わされ、様々な機器が並べられていた
「よぅ、ダウニング博士!なにかわかったかい?」
「ロジャーか…」
白衣の男は面倒くさそうに眉間にシワを寄せた