
クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第5章 ハルフォード提督と5人の将軍
オーロラはコーヒーを飲みながら話しを続けた
「あの宇宙から飛来した巨大な兵器は〈カタストロフマシーン〉モビルスーツよりモビルアーマーより強力な兵器のようだ
それは単独では動かすことが出来ない
“鍵”が必要なんだ」
「……それがあの子供だと?」
ジェフリーも話しは聞いたことがある
連邦のいくつかの研究機関が作り上げた人間兵器“強化人間”
そしてその“強化人間”をモビルスーツに接続するためのデバイス“サイコミュシステム”
つまりはそういうことなのたろう、とジェフリーは行間を読んだ
「ハルフォード提督は数年前から〈エターナル計画〉という情報を掴んでいたんだ
何年もかけてようやくその“鍵”を見つけた」
「……それがあのキアラという子供か……」
ジェフリーは気が引ける
あのような年端にいかない子供を戦場に送るのは大人として、兵士として納得ができない
「……」
ジェフリーは無言でチキンを引きちぎる
「先に“鍵”を手に入れたハルフォード提督は前もって立ち上げていた4人の将軍に“宝箱”を探させていたのさ!
ここはボスポラス海峡とダーダネルス海峡ふたつの海の関所なんだ、
“宝箱”だけじゃなく様々なものを取り締まりやすい条件が揃っているだろ
最後の将軍、私が“鍵”のほうを任されていたのさ
こうして“鍵”と“宝箱”が揃ったというわけだ」
オーロラはどこにも視線は送らず、ただぼんやりとジェフリーに説明していた
「……それで? いったい何が問題なんです?
問題かあったから待ちぼうけを食らったのでしょう?我々は」
「そうだね、ちょっとイレギュラーが発生したんだ、キミが撮影した映像が物議を醸していてね」
「俺が撮っただって? あぁ、あのデッカいヤツを捉えるときの……?
無事に捕獲出来たんだぜ?なんの問題があるってんだ!?」
ジェフリーはまるで責任を擦り付けられたような言い方をされてさらに腹が立った
「あのとき連邦軍に妙な動きをして飛び込んできた機体があっただろう?
その直後に〈バリア〉が突然解除された、
覚えてるかい?」
「それが何だったんだ?」
「本来ならキアラだけが開けられる筈なんだ、
新たな“鍵”…、
〈オルタナティブ・キイ〉が現れたのかもしれない……」
オーロラは神妙な面立ちをしていた……
