
クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第6章 接触
「こんなところに隠れていたのね」
「朝からずっと探していたのよ」
「お楽しみのところ悪いけど格納庫に来て頂戴」
「アンタに少し手伝って欲しいのよ」
スティーブの娘たちは数人がぞろぞろとタイラの部屋に入ってきて、口々に話し掛けてくる
まるでひとつの意思を皆が共有しているかのように思えた
「わかったわかった!すぐに行くから部屋から出てくれ!」
ラーズは焦りながら大きな声を出して子供たちを追い払う
「アンタの裸に何の興味も無いわ」
「すぐに降りて来るのよ」
「お父さまのご指示が無ければアンタなんかに頼らないんだから!勘違いしないで」
子供たちは口々に愚痴を言いながら部屋を出ていった
「ふぅ、焦った!なんなんだよ、まったく!」
「簡単に見つかったわね?良かったの?
私と一緒に居たこと、すぐにひろがっちゃうと思うけど」
「連邦軍のパイロットは敵地に来てもすぐに女に手を出すって噂が広まりそうだな…」
ラーズは床に落ちていた自分の下着を拾うと、自分の身勝手な行動が周りに悪い影響を与えてしまいそうだと責任を感じた
「戻ってきたらまた渡しの相手をしてくれる?ラーズ」
「もちろん」
ラーズは身支度を整えてから、いまだ裸で横たわったままのタイラにキスをして部屋を出たのだった
