テキストサイズ

クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第6章 接触



ブリーフィング・ルームに通されたラーズとスティーブはそこで作戦指令のヨハネス、そして艦長のホーンキストの4人で面談した


ヨハネスとスティーブの挨拶の握手を見てラーズは少し感動してしまう
敵対する陣営の司令官ふたりによる握手はなかなか見れるものではない


簡単な自己紹介を済ませた頃にスティーブが話しを切り出そうとしたとき、部屋のドアがノックされスティーブの娘が勢いよく入って来た


「……お父さま!」


「やぁ、じゃじゃ馬娘!」


ふたりは固く抱き合った


「ごめんなさい、お父さま」


「アリッサも、みんなも、とても心配していたよ! 改めてここの皆さんにご迷惑をお掛けしたことを謝りなさい」


女の子はぐっと勢いが詰まってしまったが、素直にヨハネスたちのほうに向き直ると、小さな声で「ごめんなさい」と謝った


小さな女の子がすっかりしょげかえって頭を下げられると大人たちはこれ以上は何も言えなかっただろう


「改めましてヨハネス司令、ホーンキスト艦長、そしてラーズ君、今回は娘が貴方たちにご迷惑をお掛けしてしまったこと、本当に申し訳なく思っております、
 そして、こうして娘と無事再会させていただき、感謝いたします」


若い父親スティーブ・グリメットは敵の司令官としてではなく、親として娘と並んで深く頭を下げた



ラーズは改めて目の前の小さな女の子を見つめる


“……俺のモビルスーツをこの子供が奪ったって? そして戦っていたってのかい?”


ワンピース姿の女の子はまるでさっきまでママとバカンスを楽しんでいたかのように思えるので不思議でたまらなかった


スティーブはさらに話しを続けた


「さて、今回のミナさんへのお話しがもうひとつ……、共同戦線のお話しなのです
 それはこの娘の事にも関係しておりますのでこのまま此処での在籍をお許し願いたい
 またラーズ君にもお願いするよ?
 ボクが向こうで話したことと今から此処で話すことに差異がないか証明したいからね」


スティーブは抱きついたままの小さな娘の頭を撫でながら、やさしく微笑んでいた


ストーリーメニュー

TOPTOPへ