テキストサイズ

クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第6章 接触


〈ビーネンシュトック〉は〈ゾーナタ〉にたどり着いた


連邦軍の空戦旗艦〈ゾーナタ〉も大型輸送船ガルダタイプの大型飛行船で、〈グリメット城〉同様にガルダ運用後の後継機フェニックス級だ


ラーズからすれば同じようなタイプの大型飛行艇を連邦軍が使ったり、敵対するトランキュリティ陣営が使ったりしている事が腑に落ちなかった


「アンタの艦と同じだよな?これってメーカーに儲けさせているだけじゃないのか?」


ラーズの無遠慮な問いにスティーブは苦笑した


「耳が痛いなぁ!ラーズ君が言う通り軍需企業は節操がないよね!敵にも同じものを売り込んでいるのだから!
 でもね、やっぱりこのクラスの移動基地はやはり魅力的なんだよ!
 部隊としては運用しやすいからね!」


格納庫に入り切らない〈ビーネンシュトック〉はここでもワイヤーで固定され母船に牽引されながら接続された


タラップなどは用意されていなかったので仕方なく牽引ロープで巻き取られながら乗船することとなった


格納庫にはたくさんの連邦兵士たちが待ち構えていた


「おお!物々しいお出迎えだね!」


「なに余裕かましてるんだよ?敵のど真ん中に飛び込んできたんだからもうちょっと緊張しろよ」


あいかわらずテンションの高いスティーブ・グリメットにラーズは溜め息をついた


出迎えた隊列の中からひとりの男が前に出てきた
艦長のマイケル・ホーンキストだ


「ようこそ、我が艦へ!私が艦長のホーンキストです、上で当部隊の司令官がお待ちしております」


「やぁやぁ!皆さんわざわざお出迎えご苦労様です!私はグリメット軍司令官のスティーブ・グリメットです、お見知りおきを」


そうスティーブが自己紹介すると周りがざわめき始めた


まさか敵の司令官が自ら乗り込んてくるとは思っていなかったようだ
護衛小隊なども従わせず単機でやってきたので余計に敵司令官本人が来るとは思わなかったのだろう


「ほら、みろ!わざわざアンタが乗り込んでくるからみんなが動揺しちまったじゃねぇか!?
 アンタでなく使者で良かったんだよ」


「えー!だってせっかく連邦の艦に乗れるのだから是非見てみたいじゃないか!」


スティーブは呑気なことを言ってのけた


ストーリーメニュー

TOPTOPへ