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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第6章 接触


ジェニファーとグリメット家の幼い娘は静かに談笑していた


そこへ父親スティーブも加わって3人で穏やかな時間を過ごしている


遠くのテーブルを見ながらヨハネス司令とラーズはなんともやりきれない空気になっていた


「あの子供がそんなひどい目に遭っていたなんて……、信じられないなラーズ君」


「彼の艦には20人とも40人とも言えるぐらいの娘がいましたよ
 それも人種はバラバラです
 アジア人の娘もいれば、アフリカンの娘も、アラブ系もヒスパニック系もね

 彼の話しでは世界中に例の子供たちの技術が高価に売買され、世界の各地でそれぞれの宿主の腹から誕生させられているようです

 彼はその娘たちをひっくるめて保護しようとしているのでしょう」


「スティーブ・グリメットが貴族だからこそ出来る所業だな……、そういう意味では娘たちは彼の庇護下におかれるのは正解なのかもしれない

 たとえ戦士として戦場に赴いたとしても、彼女たちは自分たちの安住の地を手に入れるために戦っていることになる

 我々地球連邦軍の士官よりよっぽど正当性があるように思えないかい?ラーズ君」


「ええ、彼らと触れ合っていると彼の艦に乗り込んでみたくなりますよ、司令もきっと」


「ラーズ君も彼に惹かれていってるようだね、それはあのジェニファーもそうだろうな、そして私の弟もね

 彼の共闘戦線に同意出来るかとうかは私の一存で決められない
 正規の軍隊だからね、本部に確認をとってはいるが果たしてなんと理解してもらえるか

 なんせ昨日まで戦っていた敵の陣営、トランキュリティ軍の一翼グリメット軍だからね

 うちの兵たちも同様しているよ」


ラーズは向こうのテーブル席でくつろいでいるグリメット父子を眺めながら、これから自分はどうすべきか考えていたのだった……


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