クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第7章 バルケシルの炎
それは案外すぐに訪れた
日暮れが差し掛かってきた夕刻
ラーズたちの監視用タープが位置する岩ばかりの斜面は全体がちょうど影にかくれ偵察にはもってこいの状況だった
バルケシルの空軍基地は夕焼けが射し込むまばゆい時間にそれは起こったのだ
いくつもの牽引ロープが空中に浮かぶ物体を地上に繋ぎ止めていて、さらに鉄骨で足場が組まれつつある状況で、それをサポートしていたモビルスーツが偶然鉄骨を滑らせてしまった
モビルスーツの腕から滑り落ちた鉄骨は地響きを鳴らして基地の滑走路をバウンドする
外で作業していた者たちは衝撃で次々と足場から落とされてしまった
さらにバウンドした巨大な鉄骨は牽引ロープに絡まり、たぐり寄せるかのようにあの物体を地表に引き寄せてしまった
浮遊していたそれは突然ガクン!と地上に落とされ、滑走路に激突してしまった
人間に例えるならば頭から倒れ込んだような状態だろうか
そのまま頭を地面にめり込ませ、両脚を宙に浮かせ、逆立ちのようなスタイルになったわけだ
この事故のため、此の後基地の機能を停止させられてしまうことになるとは誰も思わなかっただろう
急激な衝撃を受けたそれはら深い眠りかは目覚めたかのように突然ヒュンヒュンヒュンヒュンと甲高い無機質な音を立て始め、あたりにまばゆい閃光が走ったのだった
一瞬で基地の滑走路は蒸発してしまった
それは次の引火を誘発させてしまい、格納庫から次々と火の手が上がっている
爆発
轟音
叫声
空軍基地はあっという間に地獄図と化してしまったのだった