クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第7章 バルケシルの炎
滑走路を車で爆走していたラーズは3機目のギラ・ドライセンを見逃さなかった
運良く1機目と2機目は敵の方に集中している
ラーズはすかさずハンドルをきり、方向転換する
「ちょ、ちょっとラーズ!どっち行くのよ!?」
「このまま丸腰で接近できねぇだろーが!」
ラーズは姿勢を崩したまま沈黙しているギラ・ドライセンに近付いた
開いたコックピットハッチからは焼けたような臭いが立ち込める
メンテナンス用の取っ手をよじ登っていく
ハッチをくぐると、中は肉が焼けた臭いとケーブルが焼けた臭いで鼻がひん曲がりそうだ
ラーズはコックピットシートを見下ろす
「よかった、ユニバーサル規格だ」
アクシスが開発したドライセンをグラナダで改修したアナハイム製だ
ジオン系のメカニックマンが多いグラナダだからこそ改修できたのだろう
「基本的な配置は同じだ!計器のほとんどは焼けちまってるが、近づけりゃいいんだろッ!?」
ラーズはローズを拾って機体を立ち上がらせた
2機の僚機に気づかれぬよう、背後にまわる
「わたしにまかせて!」
コックピットシートに身を沈ませていたラーズの膝にローズかちょこんと座り、自ら操縦桿をにぎった!
「頭が邪魔だッ!?前が見えねぇッ??」
「ちょっとぉ!髪の毛引っ張らないでよッ!」
ラーズは機体の制御を、計器を見ずに勘だけで制御させている
そしてローズは腕部を操り、ビーム・トマホークを抜かせるように操っている
「ローズ、前の2機の攻撃が済んだタイミングで前に出るぞッ!!
その隙に飛び移ろう!」
「わかったわ!」
その直後、前をいくギラ・ドライセン2機がまるで特攻を仕掛けるかのように前進した
ラーズも彼らと動きを合わせて、タイミングをみさだめていた