クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第8章 カタストロフマシーン〈ストーム〉
基地の外から双眼鏡を覗いていたレヴァンとケイティはラーズたちが乗り込んでいたモビルスーツが敵に特攻して爆発するのを見届けた
彼らにはふたりが爆死したように見えただろう
なんともやりきれない気持ちのまま、事の顛末を最期まで知るために観察を続けるしかなかった
それはギラ・ドライセンに乗っていたアビゲイルにもロジャーにも同じように見えていただろう
仲間のイアンが乗っていたと思い込んでいる
ふだんは何をするにも後ろ向きで、操縦技術はピカイチのくせに背中を押してやらないと前を向かない弟分が目の前で爆散したと思っている
ふたりは機体に残されたありったけの弾薬とエネルギーを目の前の巨大な兵器にぶちまけた
バリアは再び展開されているものの、イアン機の爆発で敵の表面はダメージを受けている
2機のギラ・ドライセンはそこを集中攻撃したのだ
バリアも無敵ではない
エネルギーが補填される前に次の攻撃を加えて、新たなバリアを張らせなければいいのだ
ありったけのメガ粒子をぶちかますと、アビゲイルは腰のビーム・トマホークを振り上げてバリアごと叩き割ってしまった!
光りの壁であったバリアがそこだけ薄くなっていく
「イケるぞッ!もう一発だぁッ!!」
アビゲイルが絶叫する
仲間の死を弔うように
「危ないッ!アビィ!」
敵が再び雷撃砲〈ブリッツ〉を放つ!
バリバリバリバリッッッ!!
至近距離での雷撃砲は凄まじかった!
「ギャアッッッ!」
たまらずアビゲイルは女の子のような悲鳴をあげてしまった
凄まじい雷の衝撃!
コックピット内は地震に遭ったかのような強い振動に揺さぶられていた
だが意外とダメージは少なかった
アビゲイルのモニターは衝撃でブラックアウトしていたが徐々に正常回復していく
アビゲイルは見た
自機を守るかのように黒焦げとなったロジャーの機体がゆっくり崩れ落ちていく光景を
「アンタ、オトコだねぇ、ロジャー」
雷撃砲の直撃を受け、ロジャー機は爆発した