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どうして僕たちが…

第6章 真相

純side
「痛いって…柊一…」

俺は背中に柊一を背負う形で倒れていた。

「柊一?」

俺は何とか仰向けになると柊一の体を起こそうと彼の背中を触った時だった。
その手にベットリとした感触があった。

「え…」

俺は自分の手を見て悲鳴をあげそうになった。
真っ赤に染まった手。
その手を染めているのは…
柊一の血…
俺は慌てて体を起こす。
そこには柊一が背中を真っ赤に染め、倒れ込んでいた。

「柊一!おい、柊一!」

「馬鹿ね。人を庇って自分が怪我するなんて…」

俺はそんな女の言葉なんか耳に入らなかった。
とにかく柊一を助けたい、その一心だった。

「今度は外さないわよ。」

その時だった。
凄いスピードで女に向かって行った人物がいた。
女はその人物に銃を向けるがその人物の方が早かった。
女の拳銃を握ってる手を目掛けて回し蹴りを喰らわせた。
そんな回し蹴りが出来る人物なんて限られている。
美奈だった。
拳銃が宙を舞い、如月の足元に落ちる。
如月はその銃を拾い上げると女に銃口を向ける。
俺は彼の表情を見て背すじが凍った。
その顔は表情が無かった。
誰も動けない程の迫力がある。

「なぜ?」

いつもの彼らしくない低い静かな怒りを含んだ声。

「純を階段から突き落として、相沢さんを殺しかけ、柊一を撃った。俺たちがお前に何をした?俺たちに何の恨みがあんだよ!」

如月が怒るともう誰にも止められない。
今の如月は怒りが頂点に達し、女を殺しかねない。
ヤバい…

「如月くん、やめて!如月くん!」

俺と同じ気持ちだった、美奈が止めに入る。
ただ、如月は聞く耳を持たない。

「如月、聞こえないのか?如…「如月。」っ!」

静かな掠れた声が聞こえた。
聞き間違えるはずがない、柊一の声だ。
如月がハッとした顔で振り返る。

「柊一?」

意識を取り戻したらしい柊一は静かな目で如月を見つめた。

「…如月、止めろ。僕、お前に罪を犯して欲しくない。僕…好きなんだ、如月の笑顔。だから…笑って?」

如月は静かに銃を下ろす。
柊一はホッとしたかのような顔をすると気絶したかのように眠ってしまった。
いや、本当に気絶したのかもしれない。
女は如月の怒りに震え上がり放心状態だった。
その後、唯一冷静だった相沢さんが警察と救急車を呼び、女と気絶した男は逮捕され、柊一は病院に運ばれた。

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