メダイユ国物語
第3章 幕間 その一
「いったい何ごと?」
マレーナは錠を外して両開きの窓を開けた。
庭園の騒ぎとは裏腹に、暖かく穏やかな風が流れ込んできた。
広場からは、兵士たちの間で歓声が上がっていた。彼らが目を向ける先には、大きな縦長の四角い物が置かれている。
「マレーナ様、あれは何でしょう?」
パウラが指差しながら尋ねる。彼女は元々それを気にしていたようだ。だが布で覆われたそれが何であるかは、マレーナにも分からなかった。
二人が塔の部屋から様子を見ていると、やがて広場に数人の男がやってきた。特に大仰な武装をした兵士二人を先頭に、手枷と足枷で自由を奪われた男が数人、鎖に引かれて後に続く。罪人のような姿をした彼らは、頭に布を被せられているため、何者なのかは分からない。
そしてその最後尾には、見知った顔があった。オズベリヒだ。彼は四角い物体の前で立ち止まると、手にした筒状に丸められた紙を広げた。兵士たちは一斉に黙り、広場が沈黙に包まれる。
そんな兵士たちを見回し、オズベリヒは手にしたそれを読み上げた。
「ラバーン王国は長年に渡り、私利私欲のために我々ユゲイアを利用し、大量殺戮を行ってきた。にも関わらず、卑劣にもそれを隠蔽してメダイユ連邦国の中心に君臨してきた。そのような愚行は決して許されるものではない」
オズベリヒが言葉を区切る。すぐさま大勢の兵士たちから歓声が上がる。
「歴史から抹消され、長年虐げられてきた我々ユゲイア王国は、本日ただ今を以てラバーン王国に成り代わり、メダイユ連邦国の、いや惑星オセリアス全体の統治国となることを、ここに宣言する」
兵士たちの歓声がさらに高まった。
「我々が何よりもまず最初に行うべきことは、そんな罪深いラバーン王国に対する断罪である!」
続けてそう言うと、オズベリヒは塔の上に視線を向けた。まるでマレーナが見ていることを知っているかのように。
「故に、本日ただ今この場にて、ラバーン国王バルトロ・イェンネフェルト以下、国政の中心に携わってきた者全てを処罰するものとする」
オズベリヒが言い終えるや否や、二人の兵士が広場中央に置かれた四角い物体に被せられた布を取り払った。
「あ、あれは……!」
塔の上から見ていたマレーナは驚きの声を上げた。
マレーナは錠を外して両開きの窓を開けた。
庭園の騒ぎとは裏腹に、暖かく穏やかな風が流れ込んできた。
広場からは、兵士たちの間で歓声が上がっていた。彼らが目を向ける先には、大きな縦長の四角い物が置かれている。
「マレーナ様、あれは何でしょう?」
パウラが指差しながら尋ねる。彼女は元々それを気にしていたようだ。だが布で覆われたそれが何であるかは、マレーナにも分からなかった。
二人が塔の部屋から様子を見ていると、やがて広場に数人の男がやってきた。特に大仰な武装をした兵士二人を先頭に、手枷と足枷で自由を奪われた男が数人、鎖に引かれて後に続く。罪人のような姿をした彼らは、頭に布を被せられているため、何者なのかは分からない。
そしてその最後尾には、見知った顔があった。オズベリヒだ。彼は四角い物体の前で立ち止まると、手にした筒状に丸められた紙を広げた。兵士たちは一斉に黙り、広場が沈黙に包まれる。
そんな兵士たちを見回し、オズベリヒは手にしたそれを読み上げた。
「ラバーン王国は長年に渡り、私利私欲のために我々ユゲイアを利用し、大量殺戮を行ってきた。にも関わらず、卑劣にもそれを隠蔽してメダイユ連邦国の中心に君臨してきた。そのような愚行は決して許されるものではない」
オズベリヒが言葉を区切る。すぐさま大勢の兵士たちから歓声が上がる。
「歴史から抹消され、長年虐げられてきた我々ユゲイア王国は、本日ただ今を以てラバーン王国に成り代わり、メダイユ連邦国の、いや惑星オセリアス全体の統治国となることを、ここに宣言する」
兵士たちの歓声がさらに高まった。
「我々が何よりもまず最初に行うべきことは、そんな罪深いラバーン王国に対する断罪である!」
続けてそう言うと、オズベリヒは塔の上に視線を向けた。まるでマレーナが見ていることを知っているかのように。
「故に、本日ただ今この場にて、ラバーン国王バルトロ・イェンネフェルト以下、国政の中心に携わってきた者全てを処罰するものとする」
オズベリヒが言い終えるや否や、二人の兵士が広場中央に置かれた四角い物体に被せられた布を取り払った。
「あ、あれは……!」
塔の上から見ていたマレーナは驚きの声を上げた。