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メダイユ国物語

第1章 プロローグ

 彼は口唇の端を歪めながら、片手で少女の陰部を弄る。ゴム手袋越しの指先にヌメリを感じた。

「身体は正直ですね。ここはもう準備が出来ているようです」

 言いながら、彼は処女の膣粘膜への愛撫を続ける。

「あ、あうっ……いや……やめてっ」

 少女の口が堪らえきれずに喘ぎを発した。

「いや、絶対にいや……こんな、こんな男の子供なんて……ああっ」

 こんな辱めを受けるのなら、いっそのこと舌を噛み切って死んでしまおう、少女はそう思った。もう耐えられない――。

 彼女が決心した直後、口に丸めた布が押し込まれた。自決させまいと、男は手早く猿ぐつわを噛ませたのだ。

「立派な心掛けです。さすがは高貴なお方だ。でも、いいのですか? そんなことをして」

「んー、んんーっ!」

 手足の自由を奪われ、口をも塞がれた少女は、ただ唸り声を上げることしか出来ない。

「前にも言ったでしょう? 私に逆らえば、どういうことになるのか」

 少女の脳裏に、男から聞かされた言葉が蘇る。途端に彼女の顔が青ざめた。

「どうしますか? 私の命令に従いますか?」

「ん、んんっ、んんっ」

 少女は必死に首を縦に振る。男に従うという意思表示だった。

「素直ないい娘だ」

 男はそう言うと、彼女の口に押し込まれた布を取り払った。そしてほかの男たちに次の指示を出した。

「薬を用意しろ。『排卵誘発剤』だ」

「はっ」

 返事とともに、男たちは担当の持ち場に散った。

(排卵誘発剤!?)

 少女に不安と恐怖が込み上げてくる。彼女はそれがどういう物か知っていた。以前に目の前の男から、詳細を聞かされていたからである。

 排卵誘発剤――通常は不妊治療を目的にしたものだが、ここで用いられるのは全くの別物と言っても過言ではない。彼らが研究開発した、言わば「強制的に妊娠させる薬」である。これを用いることにより、少女の胎内の卵巣器官に強制的な排卵を促すのだ。

「この数か月の間、我々は貴女の身体を検査し、監視してきました。その内部までもです」

 男が語りかける。確かに、少女は定期的な身体検査を受けていた。その目的はごく当たり前の健康管理という名目ではあったが、彼らの本当の目的は、彼女の肉体の生殖機能の管理だった。

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