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メダイユ国物語

第2章 ラバーン王国のプリンセス

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 遠い昔、遥か彼方の銀河系にその星はあった。

 惑星オセリアス。我々と同じ姿かたちをした人類が支配する、地球と酷似したその星には、地球と同様に複数の国が存在していた。

 有史以来、オセリアスは各国間での長い戦争の時代が続いていた。だが、最も広い国土を有するラバーン王国が、ついにその争いの歴史に終止符を打つことになる。当時のラバーン国王は、他国を武力によって統制するのではなく、各国の権利・主張を可能な限り受け入れる打開策を提示して話し合いを重ねた。やがて無駄に血を流すことなく、平和的に国々をまとめ上げる。ラバーン王国を中心とした、メダイユ連邦国の誕生だった。

 国、または社会というコミュニティが複数集まることで、通常であれば支配する側とされる側に分かれ、人間の生命の価値にも格差が生じ始めるものである。強者は弱者を支配し、己だけの繁栄を願う。そして強者はさらに権力を求めて争い、弱者を食い物にする――そんな懸念を抱く反連邦派も、各国の有力者の中に僅かながらいたことも確かだ。しかし、国民の一人一人にまで平等な扱いを保証された各小国の民からは不満の声があがることはなく、ラバーン王国の政策に協力することとなった。

 ――そして、惑星オセリアスに平和な時代が訪れ、百年近くの時が流れた。

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