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メダイユ国物語

第6章 小さな慰み者

 パウラは思わずシーツを手に取り、裸体を隠そうとする。先刻この兵士ともすでに関係しており、全身の隅々まで曝け出しているため、何を今さらと自分でも思ったのだが、彼女は何故か恥じらいを感じていた。

「ん、じゃあ早いとこ服を着ちまいな。そっちのお嬢ちゃんもな」

 兵士は億劫そうな、ぶっきらぼうな声を二人に投げ掛けた。

 少年とパウラは、手早く服を着始める。防具もあるためか、少年はやや手間取っていた。

 給仕服を身に着け、乱れた髪を手ぐしで整えるパウラ。この後は何をすれば良いのか、兵士の言葉を待っていると、

「お嬢ちゃんはもう戻っていいぞ。早くお姫様のところへ帰ってあげな」

 そう言って、防具を装着し終えたばかりの少年に顔を向ける。

「さてと、ここの後始末は俺たちでやるからな。とっとと終わらせて寝ぐらに戻るぞ」

「はいっ!」

 そんな二人のやり取りに、パウラは呆気にとられながらも、

「あの……では私はこれで失礼いたします」

 と、兵士に向けて深々とお辞儀をした。

 そして彼女が部屋を出て、扉を閉めようとした直前のことだった。

「酷いことをして、悪かったな……」

 兵士はパウラに向けて、小声でそう言った。

 何か返事をしないと――そう思ったのも束の間、兵士は「早く行け」と言わんばかりに扉を閉じた。パウラは思わず、閉じられた扉に向かい、もう一度頭を下げた。

「早く終わらせて一杯やろうぜ……って、ガキのお前はまだ呑めないか」

 扉の向こうからは、そんな声が薄っすらと聞こえてきた。

(早くマレーナ様のところへ戻らないと。きっと私のことを心配なさってる)

 パウラは踵を返し、王女の元へ向かった。

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