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時給制ラヴァーズ

第8章 8.ずっともっと

 むかつくことって、慶人がむっつりなのは真実なのに。普段はクールでエロいことなんて考えたことないって顔してるくせに、いざとなるとマジでエロいんだ。しかも若干しつこい。
 俺が初めてその行為自体で本当に感じた時も、俺が何度ダメだと言ってもものすっごく楽しそうな顔で何回もしてきたし。俺の泣き顔を見て興奮してた男がむっつりじゃないとか、ありえない。

「バイトバイト」
「はあ?」
「バイトしてよ。これ使って、どう感じたかレポート」

 そんなこと言われたら俺が断らないのをわかっていて、慶人は妙にイケメンな顔で雑に頼んでくる。その自信満々な顔は、好きだけど苦手だ。

「あー、やっぱなし。天がこんなのにハマっちゃったら大変だからな」
「ハマんないよ。慶人がいるもん」
「……お前って」

 変なこと言わないでくれと肩を叩いてやったら、その手を取った慶人が力強く引っ張って俺を腕の中に引き込んだ。

「なんだよーむっつり」
「むっつりはお前の方だろ。こんな爽やかな顔しといて、感じたらあんなになっちゃうんだから。見た目とのギャップが本当に卑怯。俺をその気にさせるのはお前だけだよ」

 そのまま倒れ込んで、俺の頬を下から撫で上げる慶人の、目を細めた顔は本当にエロい。というか俺の方が覆いかぶさる体勢になっているのに、優位さが埋まらないのはどうしてだ。
 なんだか言いくるめられた気がしなくもないけど、褒められている気もする。でもやっぱりむっつりって言い方は気に入らないなぁと思いながら器用に俺を脱がそうとする慶人の手を受け入れていたら。

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