テキストサイズ

時給制ラヴァーズ

第2章 2.急ごしらえのコイビト

「じゃあ、いっぱいいるよなぁ。あ、これお買い得セットだって。これでいいんじゃない? ……で、慶人さん、サイズは?」

 画面を指差して適当に決めると、わざと声を潜めて囁き口調で聞いてやる。そしたら割と強めに叩かれた。
 つっこみにしては少々過激だ。

「なんだよー、叩かなくてもいいじゃん、必要なことなんだからー。じゃあさ、せっかくだから一番でっかいサイズ買っとく?」
「なんでここで必要ない見栄を張るんだよ」

 舌打ちしそうな勢いで怒って、さっき俺が指差したセットをクリックしてカートに放り込む慶人。
 シャイなのは知っているけれど、そこまで怒らなくても。
 場を和まそうとしたちょっとした冗談だったのに。

「あ、このローション、お買い得の大容量サイズだってさ」
「いらないだろそんなに」

 続いて画面に出てきたボトルを指差すけど、やっぱり即座に却下されて普通サイズのローションをクリック。
 よっぽど早く買い物を終わらせたいのか、俺の扱いが非常に雑だ。一応恋人同士の設定だっていうのに。

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