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時給制ラヴァーズ

第2章 2.急ごしらえのコイビト

「……どうする?」

 思わず乗り出して見入ってしまった俺の横で、無表情のまま画面をスクロールさせる慶人。
 こんな機会でもなきゃ見ることもない商品の簡単な説明を読みつつ、途中でストップをかける。

「あ、これ、細いから慣らすのにちょうどいいって書いてあるよ。初心者向けだって。こういうのでいいんじゃない? ……そういえば、俺たちって両方ともお互いが初めてってことでいいの?」
「まあ、前の経験聞かれても困るし、今回好きになった相手がたまたま男のお前だった、ってことで」
「了解。良かった。初恋の思い出とかねつ造しなきゃいけないかと思った」

 慶人だって今までは普通に彼女がいたんだろうし、大学に入っていきなり性癖ががらりと変わるってのも突然だ。だからお互いたまたま今回の相手を選んだだけっていうことで良しとした。
 それを聞いてだいぶほっとした。ぶっちゃけ、色々な思い出を捏造できるほど経験がないし。

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