
ジェンダー・ギャップ革命
第6章 異性愛者差別
「せっかくだし、全裸見ようよ。ありあちゃんの全裸なんて、温泉行った以来じゃない?」
「女王出身ってだけあって、スタイル良かったのは覚えてる。英真には劣ってたけど」
「しづやって、たまに人様の面前で惚気るよね。可愛ーい」
満更でもない顔の英真が、しづやを小突いた。えみるは彼女らと雑談しながら、ありあの上着のボタンを外して、最後にブラジャーだけを残した。
彼女達は、昨日と同じ環境下にいる。ふざけたり笑ったりして、愛する人と共に過ごして、冗談でも言い合う調子で、今朝まで同僚だった女に見世物に対するような目を向けている。
「私が……何をしたの……」
「え?何か言った?」
英真のガラス細工のような目が、きょとんとありあを見上げた。
こうも冷淡な行為に加担していても、神に愛されでもしている風に美しい。それに、英真の顔はやはり英治を思い出す。
彼女は本当に同じ世界の人間か。恵まれた家庭に生まれ育って、両親との折り合いが悪くても、彼女の味方は兄を含めて親族だけでも数多いる。愛する女と家族になって、将来を不安に思う要素も何一つない彼女を見ていると、ありあは疑心暗鬼に陥る。自分の人生は、何だったのか。彼女を義妹と呼ぶ未来を本気で想い描いて、彼女に友情を感じていたのに。
彼女と──…否、彼女達と、ありあは何が違ったのだろう。
