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ジェンダー・ギャップ革命

第6章 異性愛者差別



 ビシィィィッッィン……!!


 臀部を激痛が襲った。


 パシィィィイイイイッ…………


 太ももを同じ激痛が襲った。


「あ"あ"ァァ"ッ!!!」


 竹棒を快調に扱いながら、えみるがマニュアルに沿った仕事を進める。男がいかに無価値で害悪かを説いて、彼らに肩入れしたありあの罪を責め立てて、反省の意思の有無を問う。

 一度投獄された咎人が、ここを出られた例はない。
 男は良くて研究所送りになるし、最悪の場合は刑罰を受ける。女も卵子提供者として、実質終身刑になるのが相場だ。

 見事だったありあの肉体は、目も当てられなくなった。裂傷やミミズ腫れが禍々しいほどになっても、えみるは全く躊躇わず、竹棒を振り上げては叩き下ろす。声と呼べない咆哮を上げてありあが失神しかけた時だけ、折檻の威力を弱めて、ありあの唇をキスで塞いだ。彼女の指が、ありあの潤みに呼び水を施す。そうしてありあが切なげに鳴くと、また責め苦が再開される。


「まさか女王様が奴隷になり下がるなんてね。異性愛者だと思うと、一生見ていられるわー」

「英真、厳しなぁ。英真と仲良しのおばあさん達だって、異性愛者なのに……」

「おばあちゃん達は、別枠。若い異性愛カップルなんて、ほとんど宇宙人でしょ。椿達に言われて、目が覚めた」


 視界が霞んで頭が痛い。

 ただ、靄のかかった意識を凝らすと、軽薄なまでに華やかな女がありあに侮蔑の目を向けているのは分かる。


 英真は、何に吹っ切れたのか。

 ありあが良好な関係でいるつもりでいた数日前の彼女と、今そこにいる彼女とは、まるで別人だ。

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