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ジェンダー・ギャップ革命

第7章 愛慾という桎梏




 織葉との仲が深まる度、胸を締めつけられるような緊張感に搦め捕られる一方で、愛津は人心地がついていた。昔のまま、長いものに巻かれていれば、愛津は今も彼女とは遠い場所にいただろう。生まれ育ちからして別世界の人間のはずの彼女は、愛津にとって、だのに誰よりしっくりくる。


「ああんっ、ああッ、あッァッああァッ……あああッッ!……」



 今夜だけで何度、好意を交わしたか分からない。何度キスしたか分からない。

 周りが目に入らなくなる。織葉以外、とるに足りない存在にさえ思えてくる。

 憑かれたように彼女を想って、愛津は果てた。

 湿ったシーツに身を投げ出して、彼女が被せてくれたブランケットの端を握って、どの角度から見ても芸術品より玲瓏な彼女を感無量の思いで見入る。


「あの、恥ずかしいから……」


 織葉が唇に近づけた彼女の利き手を引き寄せて、愛津は自分の口に含んだ。

 遠くに仄かな酸味の香る、甘い粘液。さっき愛津の中を泳いだ形跡だと意識すれば穴にでも入ってしまいたくなるが、彼女が舐め取るよりマシだ。愛津は形の良い指に舌を這わせて、濡れてもいなかった部分にまで唇を寄せた。


「っ、愛津ちゃん……」


 ぬるぬるとした舌触りがなくなっても、愛津は織葉の指に舌を絡めて、隙間までくすぐる。気に入ったお菓子をもっと欲しがる仔犬のように、彼女が肩を弾ませても、何かに耐える気配を見せても、キスしたり吸い上げたりを繰り返す。


 目を凝らしてやっと見えるほどの銀糸を切って、愛津はブランケットの中に戻った。

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