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ジェンダー・ギャップ革命

第7章 愛慾という桎梏



「佐古さんに聞いた話だから、本当。川名のチャンネルに、長沼のインタビュー動画もあったもん。えみるんが神倉さんを宣伝した時みたいなことをしたんだろうけど、役員や支持者ならともかく、ちょっと話題になってるくらいのエンターテイナーに頼るなんて、長沼ってプライドないのね」

「その動画、見たことある。えみるんの話だと、長沼の目的は売名じゃないみたいだよ。女尊男卑に対抗するために、同じ考えの戦友を集めているんだとか。川名は、過激な社会問題をユーモラスに取り上げるのが得意じゃない?それで、これが、あの人のサブ垢だろうと噂されているチャンネルで……」

「うわっ」



 しづやのスマートフォンを覗き込んだ英真の顔に、奇天烈な食材を使った料理を出された客のごとく表情が出た。

 異性愛者達が権利の奪回を主張したり、男達が結託したりは、よくあることだ。川名の動画に英真が神経質になるのは、長沼が彼に関わったからだ。ことあるごとに事務所の真下で演説をして、公然とえれんを批判してきた彼は、選挙戦が近付けば、例のごとくあの騒音を繰り広げるだろう。

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