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10年後の君へ

第12章 卒業

蒼真は玄関を開け…

鳴海に心配かけないように

わざと明るく…

蒼真
「ただいまぁ…鳴海~」

シーン……と静まりかえって

なんの応答もない…

蒼真
「…えっ?…鳴海…」

(誰も居ないの…どうして…)

蒼真は家中を探しまわった…

台所…和室…洗面所…風呂場…

蒼真の部屋…寝室…鳴海の…部屋…

蒼真は脱け殻のように…階段を降り…

廊下の元へ……へたり込んだ…

蒼真
(どうして…これ…夢…だよね…)

蒼真は無意識に自分の頬を摘まんだ…

蒼真
「ッ!!いたっ…夢…じゃない…」

蒼真の視界はみるみる…ぼやけて…

溢れて…溜まってきた大粒の涙は…

やがて…頬を伝う…

その時…背後から玄関を開ける音がした… 

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