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【参加型小説】尾仁牙島

第9章 ゲーム③ 分かれ道

 やがて足元は階段になった。二人の額には汗が滲む。しかし今まで無風だったのに、僅かな生温い風が頬をかすった。


「……風が吹いてる!」

「良かった、外に出られそうですね!」


 二人は安堵した。
 しかし洞窟の出口付近は真っ暗で何も見えない。それに木々のざわめきが聞こえてきて、逆にゾクッとした。


「出口……なのよね?」


 周りが真っ暗なせいで、迂闊に進めない。でも靴の裏の感触で、足元は土の地面に変わっていることがわかった。


「ここがどこなのかわかりませんが、多分洞窟の出入口だと思います」

「私たちはここから運ばれたっていうの? あんなに道幅狭かったのに?」

「もしかしたら反対側から運ばれたのかもしれません。戻りますか?」

「えっ……」


 しかし反対側に戻った先が安全とは限らない。むしろそっちに自分たちを拉致した者がいるかもしれない。


「戻るのはやめておくわ、なんだか嫌な予感がするから」



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