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【参加型小説】尾仁牙島

第4章 ゲーム① バスの席

(いや、俺は何を喋ってるんだ? あいつのことはもう忘れるって決めたのに、なんでこんなこと聞いてるんだ? 今は月ちゃんとの会話を楽しまなきゃだろ!)


「そうですか……それは心配ですね。早く見つかるといいのですが、なにもお役に立てず、すみません」

「いや、君が謝ることでは……」


 それから月は目を閉じて黙ってしまった。せっかく話せるチャンスだったのに、フェリー乗り場に着くまで隼人はぼうっとして過ごす羽目になった。


「名前の呼び方、勇治でいい?」

「あぁ」

「どうして私を選んでくれたの?」


 シェリーは足を組み替えながら、隣に座る勇治に話しかけた。しかし勇治はぶっきらぼうに「別に」と答えるだけで、自分から話しかけようとしない。


「ふふ、もしかして照れ屋さん?」


 しかしシェリーはそんな勇治を見て可愛いと思った。そして女の幽霊から守ってあげたいと母性本能が芽生えていた。



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