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【参加型小説】尾仁牙島

第6章 乗船

 そんな様子を隼斗は横目で見て、ため息をついた。


(はあ……いいよな、どいつもこいつも、イチャイチャしやがって)


 隼斗は気軽に女子に話しかけられないため、「荷物持つよ」なんて器用なことはできなかった。それに前を歩く月は荷物が小さく、和柄の風呂敷に包まれたものを持っているだけで、パンパンに膨れた千代の旅行鞄とは大違いだった。


(なんか気になるな……)


 今度こそは月と会話したい、そう考えていると、突然後ろから誰かがぶつかってきた。


「わっ!」


 前のめりによろけて、前を歩いていた月にぶつかりそうになりグッとこらえた。すぐにぶつかってきた相手に文句を言おうと振り返ると、


「ちんたら歩いてんじゃねーよ、デブ!」


 逆に文句を言われてしまった。
 ぶつかってきた相手は背の低い男だった。上は白のスウェット、下はジーンズと自分と似たような格好をしている。ただし相手の方がスマートだ。顔は黒のサングラスと黒いマスクで隠れていて見えない。頭は黒い帽子を被っている。


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