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【参加型小説】尾仁牙島

第6章 乗船

「ねえ、あなたの手を見ていいかしら?」


 めきゆは勇治に微笑みかけると、無言で差し出してきた勇治の左手をじっと見つめた。


「あら? あなた料理するのね。意外だわ」

「……昔から」

「え?」

「ガキの頃から、母親と二人暮らしだからな。自分でできることは自分でやらねぇとって」

「そう……苦労したのね」

「別に」


 めきゆはぶっきらぼうに話す勇治の横顔を見てキュンとした。


「もう、勇治。こんなところにいたの? 探したわよ」


 突然、二人の間にシェリーが割って入ってきた。


「ちょっとシェリー、私まだ勇治さんと話してるのよ?」

「もう手相は見たでしょ? 勇治、あっちで話しましょ」


 そう言うと、シェリーは勇治の腕をグイグイ引っ張って、船の先端まで移動した。



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