君と優しさはずるい
第13章 治療
「ヒクッ…あの大きいグスッカプセルヒクッ…飲めなかったグスッ…泣」
星菜は目から止まることなく溢れ出てくる涙を袖で拭きながら必死に答えた
「先生と一緒に飲んだ時はちゃんと飲めたじゃん。飲むのが嫌だったからわざと飲まなかったんじゃないの?」
星菜は首を大きく横に振った
「違うグスッ…ヒクッ…ちゃんとグスッ…飲もうとしたのヒクッ…私頑張ったのグスッ…うッヒクッ…泣」
ちゃんと飲もうとした。いや実際飲んだでもちゃんと飲めなかった
「先生もう怒んないからちゃんと話して?」
先生は私の隣に座って頭を撫でて優しい声で言った
「ヒクッうッ…ちゃんと飲んだのグスッ…でもでもねヒクッ…戻しちゃってグスッ…看護師さんにヒクッ…新しいのグスッ…貰ったけどヒクッ…怖くてヒクッ…うッヒクッ泣」
もう涙が止まらなかった。先生は私が嗚咽混じりで一生懸命に話す言葉をちゃんと聞いてくれた
「それで飲まなかったの?」
星菜は小さく頷いた。そして先生は私を引き寄せて抱きしめて背中をポンポンとなでてくれた
「怖かったな、でも先生にすぐに言ってくれればこんなに怒られなかったよ?」
先生に言ったら薬が飲めなかったらお尻から薬入れるって前言ってたじゃん
「だってグスッ…泣」
「前にお薬飲めなかったらお尻にお薬入れるよって先生が言ったからそれも嫌でいえなかったの?」
星菜はうんと先生の胸の中で頷くと少し泣き声が大きくなった
「グスッごめんなさいヒクッ…もうしないからヒクッ怒らないでグスッ…ごめんなさ〜いグスッ…うッえ〜ん泣」
「わかったからちょっと落ち着こ」
先生は正座していた私を軽く抱き上げて自分の膝に乗せて、自分と向き合う形に座り直させて少し強く抱きしめた。
そして小さな子を泣き止ませるように少し揺れたりした