君と優しさはずるい
第17章 出張
時刻は30分ほど前に遡る……
「咲月先生ちょっといいかな?」
俺は医局長に呼ばれ医局長室へと入った
「おぉ咲月先生、よく来てくれたね〜。咲月先生もここにかけて」
教授にそう手招きをされ俺は誘導されるままにソファーに腰かけた
「……あの要件はなんでしょうか」
「急なお願いだけどさ明日から3日間私の神奈川の学会に一緒に来て手伝って欲しいんだ。なんせ人手が足りなくてね笑」
教授はニコッと笑って言った。この教授の評判はとても良い。患者さんにも平等かつ、術後や退院後のケアも完璧で腕も良くこの病院にいる医師や患者、ご家族の方から尊敬されている
神奈川か……。ここは東京だし遠くは無いからいいが俺の担当の患者さん、特に星菜が心配なんだよな
「神奈川ですか……急ですね。私の担当の患者さん達はどう致しましょうか」
「そのことは安心して大丈夫だよ。最近雇ったアルバイトの子が担当してくれるみたいだから。で、どうする?手伝ってくれるかい?」
あのアルバイトか……
教授にはよくしてもらっているし断れるはずがない
「わかりました。私でよければ全力でお手伝い致します。」
「そうかね!ありがとな咲月先生。いや〜断られたらどうしようと思ったよ笑、なんせ咲月先生程腕の良い医者は中々いないからね」
「いえいえ、私は教授を尊敬して目標としているだけです」
「ふふ笑、君も上手いこと言うね〜笑、詳細はあとでプリントにまとめて渡すよ。明日からよろしくな咲月先生」
教授は俺の背中をぽんと叩くと部屋を出ていった
「学会には私も行くから何かあれば遠慮なく質問してくれ」
医局長もそう言った。
「ありがとうございます。私は仕事がありますので失礼します」
そう言うと医局長はニコッと笑った
「お〜すまないな。貴重な時間を使って。頑張りなよ」
俺は会釈すると医局長室を出た