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キス魔は浴衣で燃える

第4章 4.ふたり

「……っ」

 次の瞬間、俺を捉えた慶人の目は完全に獣の光を宿していた。
 目覚めた、と言うのが正しいのか、スイッチが入ったと言うべきか。
 なんにせよ、イケナイ獣を呼び起こしたのだけは確かだ。

「ゃ、あっ! あ、ん……や、けーとぉ……ん、んっ」

 慶人が動くたび色んな音が響く。
 ぬめった水音、肌がぶつかる音、衣擦れの音と布団に擦れる音、荒い息に加えて甘みを帯びた俺の泣き声。そのすべてが二人を耳から煽る。
 痛さはスパイスみたいにちょっとだけ、後は甘い痺れが快感を引き連れて体中を駆け巡ってる。
 苦しいくらい深く突き上げられたかと思えば浅くいいとことばかり突かれて、堪えるのも堪えられなくなるくらい次々と快感の波がやってきて溺れそうだ。

「あ、っあ、も、イく、もう、い……っ!」

 動かれるたびに間で擦れる良さに耐えきれずに欲を吐き出したけど、それでもまだ熱は治まらなくて。
 勝手に流れ出る涙を拭ってくれた慶人は、ふっと笑ってまた緩やかに突き上げだした。でもその気遣いはほんの少ししか保たず、後はまた火がついたように二人して何度も何度も求めあった。
 記憶が消える直前まで思っていたのは、やっぱり慶人ってかっこいいなってことで、どうやら俺は自分で思っている以上に相当慶人のことを好きらしい。

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