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フラワーアレンジメント

第1章 フラワーアレンジメント

 ④

 人生で、初めてエステサロンに入った…

 女性の『美』というモノを追求し、磨きあげる場所…
 もうおじさんに足先を踏み入れている自分には、そんな空間にしか感じられない。

 なんとなく…

 『秘密の花園』的な、感覚を覚えていた…


「あのぉ、響子オーナーと約束しております、花屋の…」
 受付けカウンターのスタッフに声を掛ける。

「はい、伺っております、そちらでお待ち下さい」
 そう伝えられて目の前のロビーの豪華なソファを勧められ、座り、周りを観察していく。

 この受付けカウンターのあるスペースは、待合室も兼ねているらしく、豪華なソファセットが4セットあり…
 一見するとこじんまりした豪華なホテルのロビーみたい。

 あ、ウチのアレンジメントだ…
 そんなスペースの、おそらくは施術室への入り口の脇に飾ってあった。

 うん、いい感じだ…
 一見して、豪華、煌びやか感が伝わってくる。

「すいませんわざわざ…」
 すると後ろから響子オーナーが、名刺を手にして声を掛けてきた。

「あ、いつもお世話になっております」
 と、俺も名刺を交換する。

「初めまして…
 あら、なんかイメージ通りの方だわ…
 あ、それに…
 和也さんと仰るのね…」

「は、はい…」

 イメージ通りって?…

「ウチの旦那と同じ名前…
 うふ…間違わないわ…ね…」
 そう、穏やかな微笑みを浮かべながら云ってきた。

「え、ま、間違わないって…」

「あ、ううん、覚えやすいって…」

 俺は、この響子オーナーを目の前の間近で見て…

 その美しさ…

 華やかさ…

 煌びやかさ…

 そして妖艶さ…

 に、言葉を無くしてしまう。


 田舎から上京し、大学卒業後に都内で一流と称される商社に15年勤め…
 プライベートな私的でもまあまあな人生を送り、そしてこの地元にUターンして起業をし、紆余曲折、現在がある。

 そして…

 一応、都内ではそこそこの一流処でも遊び、目とセンスは肥えている自負もあるのだが…

『いや、久しぶりにこんな魅惑的ないい女を見たな…』
 そう想わせるほどに…

 響子オーナーは美しかった…




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