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フラワーアレンジメント

第1章 フラワーアレンジメント

 ⑥

「まさか…
 あのアレンジメントのコーディネーターが男性だとは思いもしなかったわ…
 アナタ…
 和也さん…素敵よ…」
 
 それは、甘い囁き過ぎる…

「………」

「あ、あぁ、あ、あの、センス、そう、あのアレンジメントのコーディネートのセンスが素敵ってぇ…」

 俺があまりにも、心奪われた、惚けた表情をしていたせいだろう…
 響子オーナーは慌ててそう言い繕ってきたのだが、既に、俺の心は完全に射抜かれてしまっていたのだ。

 そして、更に、ダメ押しで…

「だからね、せっかくだからお友達仲間の人達にもね、アナタのアレンジメントを紹介したいなぁって…」
 正に、天国に昇るかの様な、更なるダメ押し的の甘い言葉である。

「もし、資料とかあったら…」
 響子オーナーがそう云ってきた時、俺は間髪を入れずに…

「明日、お時間あればお食事でもご馳走させていただいて、資料説明しますけども、あ、ぜひ、したいです」

「え、あ、明日?…」

「は、はい、明日、何時でもっ…」
 ハイテンションでそう言う。

「うふ、なんか可笑しいわ…」

「え…」

 すると、響子オーナーはそう笑いながら…

「なんか、若い頃にされた…」

「え…」

「デートの誘いみたい…」

「あ、い、いや…」

 一気に羞恥心が湧き起こる…


「うん、そうね、明日…
 明日の1時どうかしら?…」
 
「あっ、はい、大丈夫です、ぜひお願いします」

「じゃあ、明日の1時に…
 ランチデートでもしましょうか…」

「あ、え、え…」

 ランチデートって…


 ドキドキドキドキ…


 その言葉に俺は…

 俺の心は…

 完全に射抜かれて…

 いや、撃たれ、撃ち抜かれ…

 撃沈してしまった…



 その夜…

 俺は久しぶりに妻が入院しているひとり寝のベッドで…

 響子オーナーを想い…

 昂ぶり…

 疼かせながら…

 自らを慰めてしまう…


 目を閉じればあの響子オーナーの妖艶な笑みが…

 あの濡れた艶やかな唇が…

 そして透明感のある、白く、美しく張りのある美肌が…

 脳裏に浮かび上がってしまい…

 本当に、数年ぶりに…

 まるで10代後半くらいの欲情の昂ぶりを蘇えらせてしまったのである。

 そしてその夜から…

 心の中に、彼女が住み着いてしまったのだ…




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