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それでも貴方が恋しくて

第1章 再会

だってさ、家…建てるんでしょ?
親さんと一緒に住むんでしょ?
そんなの絶対にバレちゃうよ?必ず綻びがうまれる。

「将…」

『将…そんな関係、いつか絶対にバレちゃうよ?辞めなよ』

そう言おうとした時だった。

「ごめん、俺…お前の事が忘れられなかった」

真剣な表情をしている将。

『お前の事が忘れられなかった』この意味が私には分からなくて、きっと友人として忘れたことはないって…そう伝えたいんだろうなって解釈をした。

「私も連絡しなかったしね…ごめん。私も将のことを忘れてたわけじゃないよ?いつか、また遊んだり出来たらいいなって思ってた」
「…はははっ!やっぱそう解釈するよな~!」
「え?」 
「正解正解~」

『正解』と言いつつ、どこか浮かない顔をしている将。

「…将」
「んー?」
「とにかくバレる前に何とかしなよ…。そんな関係っ…」

『そんな関係おかしいよ』…そう言おうとした。

でも、そんな関係がおかしいってさ、私が決めることじゃないし、本人達がそれでいいって思ってるならそれがベストな形なんじゃないかって…そう思った。

所詮、私は部外者で将や将の奥さんが今の形で幸せなら…それでいいじゃん。私には…関係ないんだから。

「ん?どうした?」
「…いや、何でもない。子供…大きくなったらどうするの?」
「まぁ、嫁の判断に任せるかな~」
「そっか…」

よくよく考えたら将って凄くない?
他人の子供を育てて、一応家族の為に家を建てるんだよ?正直イカれてるとしか思えないというか…正気じゃなくない?

「この事は内緒な?」

ウインクしてニコッと笑った将を見て、大きなため息が出ちゃった。

「こんなこと…口が裂けても言えないでしょ、馬鹿」
「ははっ!だよな~!」
「…知っちゃった以上、何か困ったことあったりしたら言って?私が出来ることなら協力するから」
「いや~、持つべきものは友だね~。いや、持つべきものは未紗…かな?」
「お調子者!!」
「怒んなよ~」

こんな爆弾発言をされたせいで酔いも醒めちゃったなぁ。

「つーかさ、そっちはどうなの?何か不満ありそうな感じじゃん」

将に旦那の愚痴を溢すのは何か違う…そう直感で感じた。

「そりゃ色々あるでしょ?でも…大したことじゃないから」

将には言えない…。
お祝い事を忘れられる事もセックスの悩みも…将には言えない。
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