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それでも貴方が恋しくて

第1章 再会

二次会のカラオケも終わって、三次会は地元にあるこじんまりした居酒屋で飲むことになった。

三次会となると、メンバーも結構減って10人くらいしか居ない。

「榎本…じゃなくて黒嶋~」
「別に榎本でもいいよ?」
「そう?なら榎本でいいかな?こっちの方が呼び慣れてるし!」
「どうぞどうぞ」
「榎本なに飲む?」
「えーっと、なら…ビールで」

曽我君は昔から誰にでもフレンドリーだったなぁ。
今でも変わってない。

「未紗まだ飲むの?大丈夫かよ」

とか言いながら自分だって飲んでるくせに。
将はビールジョッキを片手に私の隣に座った。

「将こそ大丈夫なの?そんなにお酒強かったイメージないけど」
「お前強かったもんな~。今弱くなったんじゃない?」
「そうね、全く飲まなくなったし」

曽我君がビールを2つ持って私の隣に座った。

「はい、榎本の分」
「ありがとう」

それから曽我君と将が私を間に挟みながら、仕事の愚痴やらスポーツの話やらをし始めて、私は適当に相槌を打ちながらしっぽりビールを飲んでいた。

「あ、てかさ!榎本の娘って今何歳?」
「10歳だよ」
「マジか!俺まだ結婚もしてないし、もはや彼女すら居ないっていうね…。いいなぁー、幸せそうで」

────── 幸せ…かぁ。

きっと私は幸せな方なんだと思う。
でも、やっぱり不満がないわけじゃない。

記念日や誕生日を忘れられるのも正直気に入らないし、司が誘ってくれることが年々減って、夜の営みの回数も格段に減った。私から誘えば、眠くなければよっぽどシテくれるんだけど…何だろう、女っていつまでも求められたいって思う生き物でもあるじゃん?人それぞれだとは思うけどさ…。

何度かセックスのことについて話し合ったこともあるけど、劇的な変化はないかな。結局、ひとりで抜く方がラクだからオナニーで済ませて性欲を満たしてるっぽい。

ひとりで抜くのは全然いいんだけど、結局それをしちゃうと私との行為が面倒に思えちゃうんだと思うけどね。

もう30歳、然れど30歳。

私はまだ、女として求められたいよ…?

結婚したから、母親になったからって女を捨てたわけじゃない。

体型を気にしたり、スキンケアだってしっかりして、年相応に落ち着かせて…色々頑張ってるのにな。

でも、司の負担にもなりたくないから何も言えなくなる。

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