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それでも貴方が恋しくて

第1章 再会

トイレから出て歩いていると、前から若そうな男ばっかの集団が歩いてきた。

「ねえ、そこのお姉さ~ん」
「今暇だったりする~?」
「俺達と遊ばね?」
「お姉さん美人だね~、いくつ~?」
「多分20後半くらいじゃね?」
「三十路まっしぐら~」
「これで三十路なら余裕でイケるっしょ」

勝手に盛り上がってる若者達に少しだけイラッとしつつも、相手にするだけ無駄なのも分かっている。

「すみません。友人達と来てるんで…じゃ」

通り過ぎようとした時、ガシッと腕を掴まれて動けなくなった。

「そんな洒落た格好してさぁ、男を誘ってんじゃないの~?」
「俺達を楽しませてよ、お姉さん」

なんかこの若者達…ちょっとヤバそうっていうか、普通じゃないような気がする。

「あの、離してください」
「いいじゃんいいじゃん、ヤろうよ~、ね?」
「満足させてやるからさぁ」

腰に腕を回されて、グッと引き寄せられた。

「…っ!?ちょっと、いい加減にして!!」

──── 怖い…誰か助けて。

「ハイハイ、そこの君達~。悪いね~、俺の連れが迷惑かけちゃったかな?」

この声は…姿を見なくても分かる。

「ほらほら、さっさと離れろって~」

私の腰を触っていた男の腕を勢いよく掴んだ将。
ギチギチと握ってる音が聞こえる。

「いででで!!悪かった、悪かったって!!」
「そうか。分かってくれたみたいで良かったよ~。…で?俺の連れに絡むの、まだ続けんの?お前ら」

将は私を引き寄せて、優しく包み込むよう守ってくれている。────もう怖くない。だって、貴方が居てくれるから。

若者達は不服そうに去っていった。

「大丈夫か?」
「う、うん」
「悪い、来るのが遅くなって」
「ううん、来てくれて助かった。ありがとう、将」
「…はぁぁ、間に合って良かったわ~」

そう言って、私の頭をポンポンッと撫でた将は私から離れた。

「昔から絡まれやすいし、今日めっちゃ綺麗だからやべぇかなって思ってたけど…ビンゴすぎんだろ。勘弁してくれ~」

困ったように苦笑いをしている将。

『めっちゃ綺麗だから』その言葉が頭の中をぐるぐる回って、目が回りそうになっちゃう。

綺麗…そんなこと言われたの、どんだけぶりだろう。
お世辞でも嬉しいな、綺麗って言われるのは。

だって女だもん…そういう言葉は素直に嬉しい。

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