
素敵な飼い主様
第4章 ダンスパーティー
けれど、彼は優しい。
「ちょっと、君!」
「は、はい?!」
突然声をかけられたあたしは、何かやらかしたのかとドキリとしたのを覚えている。
けれど、振り返った瞬間。
そう、再会した時と同じような衝撃が走った。
栗色の、ふわふわの髪。
安らぐような、優しい瞳。
紳士のようなオーラに、”この人が、椎名様だ”すぐにわかった。
「これ、落としたよ」
「!!!も、申し訳ありません!!こ、このような汚いハンカチを!」
慌てて受け取ると、彼は目を点にしてすぐ、上品に笑った。
