慕情
第22章 手合わせ
「アッハッハ…それを俺にくれるのか?
最高の戦利品だな…と言いたい所だけど…」
神楽は神仏の力を使い果たし…
太い木の枝に、ぶっ倒れてしまった…
「ハハハ…もう動けねぇよ…こりゃあ…
間に合わねぇ…脱落だな…洒落にならん…」
神楽の身体は力も入らず半ば諦めていた…
すると木々の葉の隙間から
蜂蜜色に輝く光が射し込んだ…
「もう…夜明けか…?勘弁してくれよ…」
神楽は独り言を言った…しかし…
甘い香りが鼻を擽り…良く見てみると
黄金に輝く今までに見たこともない熟した
桃の果実が一つだけ、ぶら下がっていた…
神楽は急に空腹を感じ…
思わず手に取り貪るように食べていた…