慕情
第25章 夢と真実
【夢と真実】
「むか~し、昔、
過ぎ去りし遥か遠い古(いにしえ)の話…」
神楽は有無を言わさず図嚢から
墨と巻き物を取り出し勝手に話し始め…
それと同時に神楽は
玉座に鎮座している老師様の処まで
巻き物を開き流れるように転がしながら
絵を描き始めた…
「【仙人の領域】に、
これは、これは美しい…美男美女がおり…
ふたりは一目惚れ…結ばれ…ひとつになり」
神楽は一人の世界に入り込み…
「か、神楽の言い方…厭らしい…」
泡沫は
頬を染め俯き両手で顔を覆い…
「はぁ~…俺らは関係ない…
巻き添えを食らうのは、まっぴらごめんだ」
宵闇は呆れ返り
溜め息混じりにそう言った…