慕情
第53章 幼子の記憶…
【幼子の記憶…】
月詠は瞼を閉じ
それと同時に幼子の記憶を探ったのだ…
すると薄墨色の空に雪が降る
寒さを感じさせ…鼓動は乱れている息遣い…
目の前には
漆黒の衣を身に纏い若い男女の姿と
床に散らばっている食べ物を拾う幼子の姿…
『こんな食い物、俺達に食わせる気か!?』
『私達の為に働くのがアンタの役目!!』
『ごめんなさい…お父さん、お母さん…』
幼子は
床に散らばった食べ物を拾おうとしたら…
『それ、お前が食えよッ!?』
『それが
食べれないなら、お前を売り飛ばしてやる』
『や、やだ…
お父さんと、お母さんから離れたくないよ』
幼子は泣きながら
必死に散らばった食べ物を口に運んだ…