慕情
第54章 複雑な心境…
「また、くれるの…?
月詠お兄ちゃんは優しいね…ありがとう…」
その幼子の指先は
凍瘡しており…なんとも痛々しい…
「坊や…これから、どうしたい…?
此処の場所に留まるかい?
それとも【妖魔の領域】に還りたい?」
月詠は幼子に選択肢を与えた…
「……………」
その幼子は俯き押し黙ってしまった…
どうやら、どちらも嫌らしい…
「では、
質問を変えよう…坊やは、どうしたい?」
月詠は優しく問い掛けた…
「…あ、あの…
僕…どうしたら良いのか分からない…」
その幼子は、それだけを言うと
また押し黙ってしまった…
「そうか…それは困ったな…これから私は
ひとり旅に出ようと思って…だけど…」