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ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー

第4章 クレリア・ラーナー


その日の夜はなかなか寝付けれなかった


台所側のテーブルの上で毛布にくるまる

床ではさすがに冷たすぎて耐えられなかった


扉の向こうからクレリアの大きないびきが聞こえてくる

“女性でもいびきをかくんだな”
とフィルは当たり前のことを知る

そう、まだフィルには知らないことが多いのだ

クレリアのもとで少しでも多くのことを学ばなければならない

恩師フリードキン神父をもうならせる彼女の力を見過ごしてはならないのだ


ようやく深夜もあげようかという頃に眠りにつけた

だが、そこからも地獄だった

イメージしてしまった通り、苦しむ少女エレンの姿

白目を剥いて笑うエレンの姿

口から汚物を吐き出すエレン


それ姿はいつの間にかシスター・リンダと重なり、彼女とかわしたキスの直後

彼女が落下していく姿がフラッシュバックする


それが何度も何度も繰り返される


落ちたのがリンダでなくエレンになるときもある


幼きエレンの部屋で苦しんでいるのがリンダのときもある

 記憶が混在しながら、地獄のような夢は続いていた



翌朝クレリアに叩き起こされた


昨日のように固い野菜で頭を殴りつけられたのだ


「キミがいつまでもテーブルに寝られると朝食の準備ができない

 それより大丈夫か?
 一晩中うなされていたぞ?
 あまりにうるさくて私も眠れなかった」


「なに言ってるんですかッッ!?そっちこそ延々と大きないびきをかいて思いっきり寝てたじゃないですかッ!
 聞かされてるほうはたまったもんじゃありませんよッッ!?」


「女の寝ごとに文句を言うだなんて、キミってサイテーだね、デリカシーがない
 どうせ眠れなくて夜中にイケナイひとりあそびでもシテたんだろう?思春期だもんなッ!

 あー、やだやだ
 こんなところでサレたら朝食の味が悪くなるよ」


クレリアはわざと茶化して見せたのだが、フィルは腹をたててバンッ!と扉を叩きつけて部屋を出て行ってしまった


「おやおや? 少年を怒らせたか?
 短気なヤツだな

 エレンにリンダ、夜中に女の名前を泣き叫ばれたこちらの身にもなって欲しいよ」


クレリアはガラスの瓶からビーンズを取り出して人工ミルクごと口に頬張った


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