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ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー

第4章 クレリア・ラーナー


その場の勢いで飛び出してしまったフィルだったが慣れない場所では行く当ても無い


ぶらぶらと雑居ビルが立ち並ぶ路地を歩いてみる


少し大通りに出るといくつかの露店が店を始める準備をしていた

フルーツ、野菜などの店や服を並べている店など途上国のような光景だ

イギリスの一般家庭で育ったフィルは物珍しくてついつい露店を眺めながら楽しみ始めてしまう

サイド7も比較的新し目のコロニーだったので綺麗な場所だったので、この25バンチコロニーの生活感溢れるバイタリティある光景はフィルから見れば廃棄コロニーのわりに活気ある街のように思えた


突然バチバチッ!と電気がショートする音が聞こえたと思ったら、街角の照明やそれまで聞こえていた音楽がすべて消えてしまった


人々が“あ〜あ、また停電かよ”と口々に愚痴を言い合っている


どうやら十分な電力が回ってきていないようだ

「連邦軍の基地は電気がついてるぜ?」

「庶民もまだ残ってる、てのにさ!」

「どうしてこっちに電気がまわってこねぇのに、軍人だけ楽してんだよ!」


民衆の不満は以前からあったようだ


連邦軍が管理しているからと言ってみんなが連邦軍へ好感を抱いてるわけではなさそうだ、とフィルは現場の雰囲気を感じ取っていた


「あら?」

フィルと目が合ったのは正面の路地から出てきた女性

「あ! おはようございます」

昨日シモンズとビルから出てきた女性ベリンダだった


昨日はシモンズと居たためか薄着な格好をしていたが、今日はニットセーターとロングスカートの上品な格好だ


「これからお仕事ですか、ベリンダさん」


ベリンダは名前を覚えておいてくれた少年に好印象のようでほぼ初対面だというのに人懐っこい笑顔を見せた


「ありがとう、名前を覚えてくれていたのね
 ええっと、フィルくんだった?
 ごめん、わたし名前を覚えるのが苦手で」


ベリンダは本当に申し訳なさそうに苦笑いをした


「ええ、フィルで合ってますよ
 ボクも覚えるのは苦手なんですが、まだここに来て2日目なので数人としか会話してないんですよ、知り合いも居ないので」


「お店のジャマになるから立ち話しは悪いわね、フィル君、時間があるのだったらモーニングに付き合って欲しいんだけど?どうやら停電らしいから今日の仕事は無くなりそう」

困った顔で笑った

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