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ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー

第4章 クレリア・ラーナー


モーニングと言っても停電中なので開いてる露店は無いし、テナントのカフェもクローズしている

「こっちよ」

ベリンダは路地裏の細い通りを進む


ショートカットして着いた場所は昨日の出会った雑居ビルの前だ


「ここって…?」

「そう、わたしの家!だってお店が停電してるんだから仕方ないでしょ?
 誰でもうちに入れるわけじゃないのよ?
 今日は仕方なくよ」

と言いながらベリンダはウインクする


“チャーミングな人だな”
フィルは自分に構ってくれるのは多少強引な人の方が多いんだな、と気付かされる


少々シャイな性格のため自分からだとなかなか距離は縮まらない

ベリンダ、シモンズのような積極的に話しかけてくれる人はうらやましくもあり、助かっているとも感じる


ビルの階段を上がっていくと一階と二階が店舗でそこから上が居住フロアのようだ

5階の最上階まで歩くとさすがに息が切れる

「エレベーターが無いと不便だけど、閉じ込められないだけマシでしょ?前に住んでた部屋は1時間も閉じ込められてなかなか救助が来なかったの、あのときはさすがに漏らしちゃったわね
 さぁ、どうぞ」


部屋の中は案外小綺麗でシンプルな部屋だった

女性の部屋とはわからないくらい何も余計なものがない


「座ってて、お茶も沸かせないから常温のものしかないけどね」


ベリンダは戸棚からボトルを取り出しグラスに注いでから、パンを何枚かにスライスしてテーブルに並べた


「こんなのしかないけど、朝食にしましょう
 私は部屋着に替えてくるわね」

そう言うとベリンダは奥の部屋へ行ってしまった


出された飲み物は紅茶だったのでフィルは安心した

戻ってきたベリンダはトレーナーにショートパンツ姿、髪の毛も後ろにまとめて先ほどより若々しく見える


「キミは本当にシモンズの好みのタイプね、本当にまだ何もされてないの?あの子そんなに慎重派なタイプじゃないんだけどな」


「昨日出会ったばかりですよ、そんな風になりませんよ!それより昨日シモンズさんの友人兼愛人っておっしゃってましたけど?」


「さみしいあの子をたまに慰めてあげてるだけよ」


ベリンダは意味ありげな笑みを浮かべてパンを頬張った


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