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ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー

第4章 クレリア・ラーナー


「キミの身体が問題ないのなら女性のほうの様子を見に行こう

 すぐ隣の診療所に預けてきたんだ

 なぁに、アイツは祓ったし、もう問題ないと思うよ? 少なくとも次に現世に戻ってくるためには100年分くらいの力を蓄えないとムリだろうからねッ!」


クレリアに促されてフィルも表に出る


教会を抜けて狭い路地裏の向こう側にある廃墟のような雑居ビル


そこは廃棄コロニーに残された住民たちの緊急避難場所のように思えた

ロビーのような広い空間に何脚ものベンチが並んでいる

もともとはホテルだったような診療所に、何人もの人たちがベンチに座っている


クレリアは何人にも声をかけながら奥へ入っていく


比較的高齢者が多いようにも見えたが、小さい子供を連れた御婦人の姿も散見される


クレリアが奥の部屋へ行くと、そこもかなりの広い空間のようだが、天井からカーテンで間仕切りをされていて、さながら戦地の野戦病院のようだ


「こっちはね、比較的マシなほうなんだよ
 見た目は貧相だろう?
 本当に酷いのはさすがに個室だ
 彼女も今は個室を借りてるんだ」


一番奥の方にエレベーターがあり、上に上がると本当にホテルのような廊下が通っている


一番奥の部屋をノックするが、中から返事はない


「まだ知識は戻ってない、でも順調に回復してるよ、いずれ目が覚めるだろう

 キミもこっちに寝かせておいても良かったんだけどね、万が一キミがヤツらのターゲットになっているのなら教会のほうが良いだろ?
 結界も強い………ハズなんだけどね」



部屋の中に入ると点滴を受けたままべっどの上で女性が眠っていた


両腕は包帯に巻かれて痛々しい

両頬もフィルのようにガーゼを貼られている


枕元の壁には十字架が架けられていた


「念の為だよ」


クレリアは十字架をやさしく撫でているが、その中に秘められている神の力を確認しているかのようだった


「……うん、変わりはなかったようだ
 なんの邪気も近付いていない
 しっかり祓えているよ」


念の為、ふたりで聖書の読経をして、空間の除霊を行うのだった



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