ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー
第4章 クレリア・ラーナー
森のように植栽されている公園の一角に人混みがある
今夜の集会はあのあたりだろうか?
クレリアはあたりをキョロキョロ見渡すとニヤリと笑みを浮かべた
「フィル、今夜はあそこで食事をしよう!」
そう言われてフィルが振り返ると、公園に隣接するかのような雑居ビルの中にレストラン・バーのような看板が出ていた
一階は昼間だけのお店らしくシャッターが下ろされている
レストラン・バーは3階のようだ
そしてそこの窓際からなら森の中に集まる彼らを観察出来るのかもしれない
ふたりが階段を昇って入ったレストラン・バーは肉料理とお酒の店だ
都合よく窓際の席へ案内されるとメニューを広げながらも窓下の景色を眺める
「バッチリじゃないですかッ!」
「眺めはいいけど、ここ高くね?
キミ、手持ち持ってる?」
ふたりはまじまじとメニューをめくりながら場違いな店であることに気付く
「ロストコロニーでこんな店まだあったんだなぁ〜、明日信者さんのところ集金に行かないとな」
「それ、本気で言ってます?」
「修道士だって人の子だろ?食べるためには稼がなきゃなぁ、とりあえず私はカットステーキにする、キミは好きなの食べなよ?
どうせ払うのキミなんだから!」
フィルはため息をついてウェイターを呼び止め注文を済ませた
「クレリアさん、あの噴水のあたり
かなり人が集まってますよ」
「ああ、そうだね、たぶんあそこにヤツが来るんだろうなぁ」
「ヤツ? 誰です? 知ってるんですか?」
「キミも顔だけは見ておいたほうが良いと思ってさ! それで外で食べるこもにしたんだけど、
やれやれ、高くついたなぁ
もうすぐ来るよ?」
そう言って待っていると公園の中の通路を一台の車が侵入してきた
人混みが左右に分かれていく
黒い高級そうなエレカー
まわりのSPたちが人混みを蹴散らしていく
「出てくるよ」クレリアがそう言った瞬間、車のドアが開いた
中から出て来たのは
小学生くらいの幼児
男の子だ!
「アイツが彼らのカリスマさ、
彼の名はデミトリッヒ
残念ながらただの子供じゃないんだ」
クレリアは睨みつけるような鋭い眼差しで彼を見つめていた
彼女はフィルの顔色が変わった事に気付かなかった
「デミトリッヒ!!??」
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