
はなことば
第10章 Coreopsis《大学生》
夜21:00_
\ピンポーン
ドアのベルがなった
李杏「はい」
" 唯音「お姉さんー!」"
李杏「え?なんで?」
バレたんだ。
きっとバレた。
恐る恐る扉をあけると
昼間の彼の姿_
唯音「良かったぁ。留守だったらどうしようかと、」
李杏「……なに?」
唯音「これ、おすそ分け。」
焼き魚と野菜の面々
唯音「お姉さんガリガリなんだもん。
もしかして食べてないのかもって。」
李杏「……っ」
唯音「一緒に食べません?」
李杏「……ねぇ、ストーカーなの?」
唯音「ん?……え?」
李杏「あ、もしかしてマスコミ?」
唯音「お姉さん?何言って……」
李杏「私の元ファンとか?」
唯音「……あの、何言ってるんですか?」
李杏「…私のこと……気づいたんじゃないの」
唯音「……?」
え?そのTシャツ着てて気づかないことある?
一応これでも
coconutsの元センターだよ?
李杏「……入って。」
どこか悔しい李杏は
彼を家の中に入れた
遠慮のえの字もない彼は
早々に近くのテーブルに料理を広げ
紙皿に取り分け出した
唯音「はい、どうぞ。」
李杏「ありがと……」
彼が取り分けてくれた
野菜に手をつけようと選んでいると
唯音「あ、もしかして、好き嫌い多め?」
李杏「…っ」
唯音「お姉さん、いい大人でしょー?
ほら、好き嫌いしないの。」
李杏「うるさいなぁ…」
唯音「……お姉さんさ、…
李杏「もう!!お姉さん、お姉さんうるさいなぁ。
そこまで歳変わらないでしょ」
唯音「じゃぁ何歳?」
李杏「24。」
唯音「ホントだ。あんまり変わらない。俺22。
水沢 唯音って言います。大学生です。」
李杏「ふーん。」
唯音「ふーんじゃなくて、教えてくださいよ。
名前と職業。」
李杏「……」
唯音「……ん?」
李杏「……よく見なさいよ」
唯音「え?」
李杏「もう!!なんでわかんないかな?!
あんたのそのTシャツ!!!
好きなんでしょ?coconutsのこと。」
唯音「あぁ、これ。弟のやつで。」
李杏「……弟?」
唯音「弟がcoconutsのファンで。
俺は、少ししか……………、、って……え?」
彼の表情が変わった
